基礎理論とシステム基盤技術の融合によるSociety 5.0のための基盤ソフトウェアの創出
研究総括 |
岡部 寿男 京都大学, 学術情報メディアセンター, センター長
|
研究期間 (年度) |
2021 – 2028
|
概要 | 我が国が提唱するSociety 5.0が目指す社会は、人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すデータ駆動社会です。新型コロナウイルス感染症の拡大を契機として、社会のデジタル化、さらには社会全体のデジタル・トランスフォーメションが一層進展すると考えられます。その結果、機密情報やプライバシーの侵害につながる可能性のある様々なデータがパブリッククラウドに置かれインターネットを介してやり取りされるようになることで、セキュリティリスクやプライバシーリスクの増大が懸念されています。
安心・安全で信頼できるデータ駆動型社会の実現には、自由なデータ流通と個人情報保護を両立する枠組みを実装することが必要になります。しかも、高度化・複雑化する社会システムの構築においては、「Security-by-Design」かつ「Privacy-by-Design」な基盤ソフトウェアを、様々な実行環境からなるハイブリッドなハードウェアやOS上で動作させることが求められています。とりわけ、近年報告されているハードウェアやOSの新たな脆弱性は、これらを海外技術に依存している我が国において深刻な課題であり、従来のような個別の対応では根本的な課題解決が困難となっています。社会システム全体をby-Designの観点で捉え、分散協調並列処理やAI等の理論との融合も視野においた革新的な技術の研究開発と、原理的に安心・安全で信頼できる、ブラックボックスを排除し他国に依存しないオープンな基盤ソフトウェアの創出が必須です。
本研究領域では、基礎理論分野とシステム基盤技術分野を横断的に融合・統合する研究開発の推進により、Society 5.0時代の安心・安全・信頼を支える革新的な基盤ソフトウェアの創出を目指します。具体的には、以下の3つの達成目標に取り組みます。
(1)信頼できないハードウェアやOSを含む計算環境で安全なシステムを構築可能とするセキュリティ技術の創出
(2)オープンな環境でもプライバシーを確保するデータ収集・解析技術の創出
(3)データの自由な流通と個人情報の安全性確保を両立するシステム実装技術の確立
なお、本研究領域は文部科学省の人工知能/ビッグデータ/IoT/サイバーセキュリティ統合プロジェクト(AIPプロジェクト)の一環として運営します。
|