研究総括 |
北川 宏 京都大学, 大学院理学研究科, 教授
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研究期間 (年度) |
2021 – 2028
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概要 | 本研究領域は、元素の潜在能力を最大限に引き出すと共に、元素の組み合わせがもたらす膨大な物質探索空間を開拓することにより、複数元素のシナジー効果による革新的な機能・物性を有する新材料を創出することを目的とします。具体的には、無機物質、有機物質を問わず、物質探索空間を複合化・多元素化・準安定相等の未踏の領域に拡大し、効率的に物質探索を進める戦略的な取り組みを重視します。
複合化では、未開拓な元素の組み合わせによる新規な分子や固体、異種材料接合からなるナノシステム等の革新的機能・物性発現が期待されます。多元素化では、様々な相(結晶相、アモルファス相、電子相、スピン相など)の発見や、多様な欠陥種を利用した材料設計等が期待されます。準安定相では、速度論的制御法である非平衡合成による新物質相の発見や所望の結晶相や物性の実現、イオン拡散や電池容量、触媒能の促進、可逆的な相制御等が期待されます。また単純な系であっても、ダイヤモンドやフラーレンのような新たな同素体の発見があるかもしれません。これら以外に新たな材料設計の概念、例えば人間のひらめきや直感、感性を取り入れたプロセス・インフォマティクスの開発等を打ち出すことも歓迎します。
各研究チームのゴールとして期待することは、元素の高度利用を基軸に新材料を効率的に探索するため、計算科学/データ科学/高スループット評価/非平衡プロセス/プロセス・インフォマティクスに直結させたその場計測などを含む材料創製手法を開発し、新機能の発見や、信頼性・耐久性の飛躍的な向上を実証することです。それにより本研究領域は元素高度利用の科学と新機能材料創製の開発基盤を構築します。
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