研究総括 |
山中 一郎 東京工業大学, 物質理工学院, 教授
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研究期間 (年度) |
2022 – 2027
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概要 | 本研究領域では、人間社会が地球環境と調和するために不可欠な物質循環に関わる元素からなる安定な分子から、エネルギー消費と廃棄物排出を極力抑制しながら、目的である有価値物質を高い選択性で変換できる物質変換の研究開発とこれに関わる基礎科学の創出を目指します。
具体的には、地球表面に豊富に存在し、人をはじめとする生物や食物を構成している元素、あるいは人間社会で利用されている元素の中で物質循環が重要とされている元素およびその化合物(主に炭素、窒素、酸素、水素、リン、硫黄、ケイ素などとその化合物)を対象とした物質変換に関わる基礎的な研究開発を行います。これは、既に開発された資源化に関わる物質変換法の要素技術と比較して、エネルギー利用効率や目的生成物への選択性の著しい改善が期待される基盤技術の創成を意味します。即ち、不可能と考えられていた反応を可能とする革新的触媒作用を示す触媒材料や電極材料の研究開発、高速かつ選択的イオン伝導性を示す固体電解質材料の研究開発、電気・光などを利用した高度なエネルギー制御や電子移動制御を伴う反応プロセスの研究開発を目指します。また、これらの研究における反応機構の解析的・理論的な解明に不可欠なオペランド計測・オンデマンド計測など先鋭的な分析法の研究開発や第一原理計算・熱流体工学シミュレーション・機械学習などの理論計算の研究開発も推進し、社会実装に発展しうる物質変換の基盤科学の創成を目指します。さらに、これらの研究の思想・課題・成果を対象として、グリーンケミストリー・経済学・社会科学などの観点から持続可能な社会の実現に資する物質変換の指標を示します。
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