体系的番号 |
JPMJER0402 |
DOI |
https://doi.org/10.52926/JPMJER0402 |
研究代表者 |
金子 邦彦 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授
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研究期間 (年度) |
2004 – 2009
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概要 | 生命システムの普遍的性質を定量的レベルで理解するための複雑系生命科学の樹立に努めました。これは個々の要素と全体の間のダイナミックな相互関係として生命システムを捉え、階層的な生命システムの安定性、可塑性を理解するものです。これまで暗黙裡に仮定されていた「生命をいろいろな機械のくみあわせとし、その各機械の因果関係を分子に求めていく」という「分子的」生命観とは相補的な立場であり、個々の分子にはよらない、システムとしての普遍法則を明らかにしてきました。 研究遂行に際しては、生命は進化によりチューンアップされた「非常によく出来た機械」であるという従来の立場にとらわれず、我々の側からいくつかの条件を設定して、生命の基本的複製過程や発生過程がいかにあらわれるかを調べる「構成的生物学」 の立場をとり、生命システムが最低限みたすべき普遍的性質を、理論と実験が協力して抽出しました。 具体的には (A) 人工複製細胞系の構築 ――再帰的な増殖が可能な触媒反応系の普遍統計法則 (B) 人工遺伝子ネットワークでの適応 ――遺伝子発現の揺らぎと細胞成長の帰結としての普遍的適応 (C) 粘菌を用いた、多細胞組織化の動態 ――相互作用力学系による分化、多能性の理解 (D) 大腸菌を用いた進化による、表現型揺らぎと進化の関係 ――遺伝子型・表現型の揺らぎの法則、安定性の進化 (E) 異種生物間の共生における可塑性の制御 の5テーマを設定し、またそのために (F) 定量的測定手法を新たに開発しました。 野心的な試みであったが、複製、適応、発生、進化において、生命システムが満たす普遍的論理を発見し、理論的な定式化を行うことが出来ました。
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