研究責任者 |
馬場 護 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 名誉教授
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研究期間 (年度) |
2006 – 2008
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概要 | 現在日本において、がんは全体の死亡率のトップを占めている。女性の場合に罹患するがんのトップである乳がんは、年々増加しており早急な対策が必要とされている。乳がんの場合、早期発見によって治癒の可能性が高いため、早期発見が重要である。現在乳がん検診は、触診、超音波診断やX線マンモグラフィによって行われているが、乳がんに特化し、かつマンモグラフィと併用が可能なPET(Positron Emission mammography:以下PEM)によって、乳がん検診の精度を大幅に高めることができると期待される。PEMでは、乳房を検出器で挟みこむので、被験体と検出器との距離が大幅に小さくでき感度が大幅に向上、診断精度を向上させ、被曝量を低減できる。最近の研究で、乳がんに対する生存率を高めるには、3 mm程度のがんを発見できることに加えてリンパ節への転移を早期に発見することが重要となっており、PEMにもその機能が要請される。更にPEMでは、シンチレータデバイスの配置や回路を単純化できることから、全身用PET装置の1.5億円程度に対して3-5千万円程度で実現可能と見積もられるPEMが満たすべき条件として、1) 高い感度と解像度、とともに 2) 他臓器からのγ線や散乱線バックグラウンドを除去するために検出器が高いエネルギー分解能と早い時間応答を有すること、が必要である。東北大学多元研で開発されたPr:LuAGシンチレータは、最も優れたエネルギー分解能と早い減衰時間を有し、PEM用シンチレータ結晶として有望であり、本プロジェクトでは適切な電子回路とデータ収集システム、画像再構成手法を開発することによって、高い解像度を有するPEMのプロトタイプ機を開発する。
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