研究責任者 |
野島 博 大阪大学, 微生物病研究所, 教授
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研究期間 (年度) |
2006 – 2008
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概要 | 本プロジェクトは大阪大学微生物病研究所で選抜したコンテンツ(遺伝子)を、三菱レイヨン(株)で開発した基盤(ジェノパール?)に搭載することで新規な選抜アレイ(focused array )を作製し、それを商品化することでRNA診断法の実用化を目指すものである。対象を絞った遺伝子発現に対して、正確で迅速な検出を可能とするジェノパールに搭載した選抜アレイは従来品と異なり、低価格化と生産性の高さ、操作の容易さなど実用化における多くの優位性を保持していることが特筆に価する。その背景には、現状の血液診断の限界が挙げられる。すなわち現在行われている血液診断項目の大半が血液サンプル中の血清に出現している酵素活性やタンパク質量を測定するものであるため、分泌性タンパク質など血清に存在するものに限られるという制約があること、そのため検査できる項目がわずかで情報量が少ないことなどの限界である。一方、SNP解析などのDNA塩基配列を検査する「DNA診断」では究極の個人情報であるゲノム情報の流出という社会問題が懸念される欠点がある。本研究で提案する、遺伝子の活動(発現量)を測定する「RNA診断」では、得られる情報がDNA診断並みに多いにもかかわらずゲノム倫理問題が生じる可能性は極めて低い。本研究開発(DETECTシステムの開発と実用化)においては「感染体チップ」と「不明熱・膠原病検査チップ」という、2種類の選抜アレイの試作品を作製し、その 性能を検査しながら、大きな販路を開拓できる形での実用化を狙った戦略を立ててゆく。その狙いを確固として実現するための基礎研究として、感染体DETECTシステムの基盤となる「感染体チップ」においてはジェノパール?の性能を多方面からのテストによって検証してゆく。自己免疫疾患DETECTシステムの基盤となる「不明熱・膠原病検査チップ」においては、実際に採取した臨床サンプルを対照としたモニター検査をするとともに、他の類似の製品との比較を進めてゆき、将来は健康保険が適用できる「自己免疫疾患診断用チップ」としての商品化を目指した開発を進めてゆく。これと並行して、極微量のサンプル(一滴の血液など)を用いて検査・診断できる、偏在の生じない新しいRNA増幅技術を開発することも目指す。さらに、これらチップで同定した mRNA から産生されるタンパク質に対する抗体を作製して、タンパク質レベルでの血液診断にも展開することも目指す。
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