放牧飼育で変動するウシ特異的発現マーカー因子の探索とそれを利用した放牧畜産物の判定システム開発
研究代表者 |
小酒井 貴晴 農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 研究員
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研究期間 (年度) |
2007
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概要 | 大規模酪農が可能な北海道における放牧飼育は、牧草地へウシを放牧することで高い自給率を得られると同時に、自然環境下でウシがより健全で頑強に育つことが期待できる。現在、放牧飼育による畜産物の差別化を目的に、機能性やチーズなどの製品化研究がすでに実施されており、今後、『放牧家畜による食肉や乳生産物』が「安心安全な食品」イメージをもとに、消費者からのニーズが飛躍的に増大する可能性が高い。 しかし、消費者ニーズが飛躍的に向上しても、『実際に消費者の手元に届く畜産食品が放牧飼育されたウシから生産された乳や食肉である』と、消費者に科学的根拠を持って提供できない。なぜならば、畜産物が放牧家畜由来の食品であるかどうかを判定する技術がないと同時に、「放牧家畜」と「畜舎内で濃厚飼料ばかり食べた家畜」を判別する技術がないからである。これでは偽物の混入により消費者の信頼を失ってしまう。 そこで、本研究課題では、生産者レベルと消費者レベルにおいて科学的根拠に基づいた放牧畜産判定システムの開発を目指す。具体的には、1)放牧されたウシに特異的発現する遺伝子群を検出することで、生産者や農協等が自信を持って肉用牛や乳を出荷できる遺伝子発現判定キットの開発と、2)そのマーカー遺伝子群により発現・誘発される代謝因子(タンパク質または脂質)を検出することで、小売業者や消費者が生肉や生乳を安心して販売・購入できる代謝マーカー判断キットの開発を行なう。
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