研究代表者 |
高須 昭則 名古屋工業大学, 大学院工学研究科, 助教
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研究期間 (年度) |
2007
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概要 | 近年、大腸菌の遺伝子組み換え技術を積極的に応用した多くの有用なタンパク質の生合成が可能になってきた。しかし、その発現量(生産量)は社会的な需要を十分満たすには至っていない(1g のタンパク質を生合成するのに何十リットルものスケールの培養が必要)。大腸菌を発現ホストとして用いる場合、lac プロモーター [mRNA 合成(DNA からRNA を合成する段階;転写)の開始に関与するDNA 上の特定領域の短い塩基配列]による発現システムが主に用いられ、ガラクトース(糖の一種)残基がリプレッサー(DNA のオペレーターに結合して遺伝子の発現を抑えるタンパク質)と作用にすることによってmRNA の翻訳が開始される。その誘導物質(Inducer)としては、IPTG と呼ばれるイソプロピル .-D-チオガラクトシドが最も大きな効果を示すことが知られてきた。ガラクトースでは、細胞内で分解してしまい、単糖の1位を誘導体化したIPTG が大きな効果をもたらしたと考えられている。近年、糖鎖高分子化学は目覚しい発展を遂げ、多種多様な高分子の合成を可能にし、多くの生命現象に糖鎖の多価効果が重要な働きをしていること、その糖鎖間の距離が大きく影響することが明らかになった。本研究では、IPTG 代替品を指向した新規複合糖質を合成し、高分子特有の多価効果により、発現効率の向上や発現時間の短縮を目指す。
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