メタボリックプロファイリング技術を活用した機能性付加飲用柿酢の開発
研究代表者 |
田中 健 奈良県工業技術センター, 食品・毛皮革技術チーム, 総括研究員
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研究期間 (年度) |
2007
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概要 | 本県の柿生産量は、全国で和歌山県に次いで2位であり、主要な特産物として全国に出荷されている。柿には、ビタミンC、カロテン、ポリフェノールなどの健康に有用な機能成分が多く含まれており、二日酔いや抵抗力をつけるなどの効能があると言われている。本県では従来から柿を利用した加工食品として柿酢が製造されているが、調味料として消費される量は非常に少ない。しかし、近年、食酢を健康目的で飲用すると血圧が下がるなどの機能性が注目され、その効果は柿酢でも認められており需要は増えている。しかし、市販されている飲用酢は、刺激が強く飲みにくい欠点があり、一般に2~10 倍希釈して飲用に用いているため、消費量の大きな増加は期待できない。そこで、本試験研究では現在ある柿酢をストレートでも飲用することができるよう改良し、原料の柿に大量に含まれている機能性物質(抗酸化性物質)ポリフェノールを高濃度に含有した健康柿酢ドリンクを開発する。この研究開発に用いるシーズは、現在、地域結集型研究開発プログラムで研究中のメタボリックプロファイリング技術で、現在、大和茶の品質格付けに関与する成分の特定が進められ、画期的な品質評価方法として成果をあげている。この技術を適用・駆使してマイルドで飲用しやすく、香味バランスを改良した高ポリフェノール含有柿酢を研究開発し、さらに原料柿が持つポリフェノールを酵素の働きにより可溶化し富化する技術の開発を行う。一般的に、機能性を高めた食品は、効果を追求するあまり、おいしさが欠落し、敬遠される場合があるので、当該試験研究では、機能性が高く美味であるものをめざし、成分分析と官能評価の関係について図2、3の多変量解析・データマイニング等の統計学的処理を行うメタボリックプロファイリング技術を活用するものである。目標として従来品の3~5倍高濃度のポリフェノールを含有するマイルドな柿酢の商品開発ならびに、研究成果の知的財産権取得を予定している。
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