概要 | わが国の園芸花き生産は,過去20年余の間に農業生産が縮小する中で,唯一堅調な伸びを示してきた分野である.近年,花きの供給は東南アジア諸国からの輸出攻勢に曝されている.海外からの圧力に抗して国内生産を維持するためには,観賞期間の延長による高品質化をなしとげ,輸入品との差別化を図ることが必須である.花きの実用的な観賞期間は,蕾が開いて満開になるまでの期間と,満開になった花が萎れるまでの期間を合わせたものである.今までの花き観賞期間延長の技術開発では,後者を延長する薬剤開発に主眼がおかれ,前者の重要性が認識されて来なかった.主要花きであるバラやトルコギキョウでは,前者の期間が長いことが品質のよい花きとみなされ商品価値が高いため,この期間を延長する薬剤の開発が求められている.また,園芸花き生産は多品種少量生産を特徴とするため,実用的な薬剤は,多種多様な花きに有効であることが望まれる.本研究では,広汎な種類の花きに有効な,花の生け水に施用して,花弁の展開速度を抑制する薬剤(すなわち花をゆっくり咲かせる薬剤)の探索と実用化を試みる.
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