研究代表者 |
高橋 健造 京都大学, 大学院医学研究科, 講師
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研究期間 (年度) |
2007
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概要 | 難治性の皮膚角化症であるダリエー病に対する外用治療薬の開発を目標とする。ダリエー病は、SERCA2 遺伝子の変異による比較的頻度の高い優性遺伝性の角化皮膚疾患で、醜形・悪臭を伴う皮疹が思春期以降の顔や胸部に発症するが、現在の所、有効な治療法が存在しない。 SERCA2 遺伝子より転写される小胞体のカルシウムポンプであるATP2A2 蛋白の蛋白量が低下し、表皮角化細胞が正常な角化プロセスより逸脱することで発症する。即ち、ダリエー病においては、変異蛋白の存在自体は病態の形成に関与しない。ハプロ・インサフィシエンシーと呼ばれるこの発症メカニズより、SERCA2 遺伝子の転写を亢進し、患者皮膚でのATP2A2 蛋白の発現量を変異体・正常蛋白ともに増加させることで、皮膚症状を改善しうると考え、培養ヒト表皮角化細胞を用い、SERCA2 遺伝子の発現を増強させる薬剤を網羅的に探索した結果、カンナビノイドとバニロイドと呼ばれる作動薬の1群が、ヒト皮膚でのATP2A2 蛋白の発現を亢進することを発見し特許を申請した。さらに患者皮膚に使用可能で、より効果的な薬剤の選定を今回の研究の目的とする。
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