高硬度ナノ炭素膜中の水素含有量を制御した長寿命切削工具の開発
研究代表者 |
安井 治之 石川県工業試験場, 機械金属部, 専門研究員
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研究期間 (年度) |
2007
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概要 | 従来のダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜は、2000HV 程度の低い硬さと膜中に多くの水素を含むことから、アルミ合金に対して摺動特性には優れるが、耐摩耗特性が低く、切削工具としての利用は困難であった。この問題に対応するため、右上図に示すようなDLC 層とナノダイヤモンド層を多層としたHND 膜の成膜技術を開発し、硬さの問題と水素含有量を制御することが可能になった。これにより、水素をほとんど含まないナノダイヤモンド層と20~30%の水素を含有するDLC 層の厚さを変えることにより、膜の硬さと水素含有量を制御が可能になった。本研究は、共鳴核反応分析法(右下図)により、HND 膜や水素フリーDLC 膜などの高硬度ナノ炭素中の水素含有量の定量測定技術を確立するとともに、水素含有量や硬さを制御した条件で、切削工具に成膜し、アルミ合金(A5052、AC2B)の切削試験により耐久性を評価する。目標としては、現状のDLC 膜に対して、3 倍の寿命(切削距離)向上により実用化を目指す。
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