研究責任者 |
岩本 伸司 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授
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研究期間 (年度) |
2008 – 2011
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概要 | 通常の酸化チタン光触媒は、紫外線を照射しないと光触媒作用が発現しないため、窒素などを酸化チタンにドープし、可視光応答性を付与する試みが種々行われている。しかし、窒素をドープした酸化チタン中には、酸素欠陥が生成してしまい、これが光照射により生成する電子と正孔の再結合を促進するため、高性能な材料を得ることができなかった。これに対し本申請者らは、まずSiで修飾した酸化チタンを合成し、これに窒素ドープ処理を行うことで、窒素ドープ量が多く、しかも酸素欠陥が極めて少ない高性能な可視光応答型光触媒を作製することに成功した。本試料は「SiとNを共ドープした酸化チタン」と捉えることができ、可視光応答型光触媒の高活性化のための新しい設計指針であると考えられる。さらに本申請者らはこのSi-N共ドープ酸化チタンに少量の鉄を担持することで、可視光照射下での光触媒活性が大幅に向上し、従来品を上回る性能を示すことを見出した。本触媒は、室内光でも光触媒作用が発現することが認められ、またその成分は、安価、安定、安全であるため、様々な用途に応用されると期待される。
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