新規両親媒性乳酸系ポリデプシペプチドを用いた分子プローブの開発に関する研究
研究責任者 |
木村 俊作 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授
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研究期間 (年度) |
2008 – 2011
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概要 | 京都大学で研究されたペプトソーム技術を核に、島津製作所と共同で、新規両親媒性ポリデプシペプチド(親水部:ポリサルコシン、疎水部:ポリ乳酸)の自己組織化により均一に形成されるナノ粒子(ラクトソーム)が、内臓への集積が少なくかつ高選択的にがん組織に集積することをin vivo蛍光観測により明らかにしてきた。これを用いたがん診断用分子プローブの製品化を検討するために、放射線核種を標識剤として用い、がん組織への選択的送達に関する研究開発を行う。本材料の最大の特徴は、生体適合性(体内分解性、代謝性)である。親水部に利用しているサルコシンは、生体中に見出されるアミノ酸であり、内因性のサルコシンデヒドロゲナーゼにより代謝される。現在まで、親水性高分子として工業材料であるポリエチレングリコールが多用されてきたが、ポリサルコシンは同等以上の親水性を有する。さらに、疎水部に利用しているポリ乳酸は、生体適合性及び生体分解性が知られており、骨吸収性材料などの医用材料に利用されている。従来の生体適合性ナノ粒子と比較して、分子量の調整及びペプチド等による修飾などの分子設計も容易であり、診断薬及び医薬品担体として期待できる。
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