アシル基を持つ配糖体天然物及び関連非天然物の位置選択的合成
研究責任者 |
川端 猛夫 京都大学, 化学研究所, 教授
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研究期間 (年度) |
2010
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概要 | 配糖体天然物は従来よりよく知られている生理活性物質であるが、近年抗ウイルス作用やMRSA耐性菌に対する抗菌剤増強作用、糖尿病合併症の治療効果、さらに抗アレルギー作用等が相次いで報告されている。このように配糖体は現代病の治療候補化合物の宝庫であり、その簡便で多様性ある合成法開発は急務である。一方、糖類の合成研究は既に膨大な実績があるが、対応するペプチド合成に比べて格段に困難である。これは糖類が複数の水酸基を持つため、それらを区別して結合形成を行う必要があるためである。この問題点はこれまで複数の水酸基を保護-脱保護により区別する多段階合成法により克服されてきた。一方、我々は多段階の保護-脱保護操作によらない一段階の触媒的位置選択的な官能基化を基盤とした糖関連物質の精密有機合成法の開発に取り組んでいる。我々の開発した触媒は無保護グルコピラノースへの4位選択的なアシル化が可能である。本研究ではこの位置選択的反応を利用し、抗腫瘍性配糖体天然物multifidosideの全合成を達成した。今後、さらに複雑な構造を持つ生理活性糖体天然物の全合成や種々のアシル基を持つ非天然配糖体のライブラリー構築へと展開したい。
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