新規C型肝癌マーカーDHCR24を利用した分子標的治療薬剤の開発
研究責任者 |
齊藤 誠 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教
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研究期間 (年度) |
2010
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概要 | 本研究開発においては、C型肝癌にてDHCR24が発現亢進するという我々の知見をもとに、我々が樹立した抗DHCR24モノクローナル抗体(2-152a)によるC型肝癌に対する抗体療法への応用の可能性を検討した。その結果、2-152a抗体が 抗腫瘍活性に重要なエフェクター機能(CDC活性)を有していることを確認することができた。また更に、本抗体にはこうしたエフェクター機能とは独立したユニークな機能(抗HCV活性)も備わっていることも明らかとなった。こうしたことから、本抗体はC型肝癌に対する抗体療法への応用の可能性が高いと考える。そこで、将来的な臨床応用を見据えて、本抗体の抗原認識部位(可変領域)以外をヒトIgG1定常領域と置き換えたキメラ抗体の開発にも着手している。また、肝癌細胞表面上のDHCR24分子が 2-152a抗体の結合を介して薬剤を効率的に細胞内に取り込むキャリアとして機能することも明らかとなり、この機能についてもC型肝癌治療への応用が可能であると考えられる。現在、2-152a抗体由来のscFvを構築し これを肝癌細胞表面DHCR24分子への標的・送達ツールとして 強力な細胞傷害活性を示す分子(ジフテリア毒素)を遺伝子工学的に連結した新規C型肝癌標的薬剤(イムノトキシン)の開発を進めている。今後は作製したキメラ抗体の機能を検証するとともに、新規イムノトキシンの肝癌細胞に対する抗腫瘍活性を検証していく。
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