非線形相互作用を考慮した高波・津波の高精度予測シミュレーター開発
研究責任者 |
奥村 弘 富山大学, 総合情報基盤センター, 講師
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研究期間 (年度) |
2010
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概要 | 従来、気象庁を始めとする高波・津波予測シミュレーターでは、複雑な海岸線と極浅海域における海洋波動の非線形性を正確に表現できないため、沿岸線で数十から数百mで発生する高波の局所的な集中予測までには至っていない。一方、本研究では海洋波動の数理モデルとして、非線形保存型の浅水長波方程式に対して有限要素法に基づく計算力学手法を採用することにより、深海波の性質(分散性)と、極浅海域での非線形性を同時に考慮する。海底地形データをもとに富山湾における波の大規模コンピュータ・シミュレーションを行った。その結果、寄り回り波の基本的な発生メカニズムは、富山湾固有の複雑な海底谷と、海岸から1km~5kmの沿岸域内における急激な海底地形により発生する大きな『屈折』を伴った浅水変形が波エネルギーを局所的(沿岸線で数百m)に集中させることで波高が高くなる現象であることを示した。
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