研究責任者 |
藤田 昌史 茨城大学, 工学部, 講師
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研究期間 (年度) |
2010
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概要 | 水道管の更新計画を合理的かつ効果的に進めるために、水道管ネットワークから採取した水道水を対象に化学分析を行い、老朽化状況を診断する手法を開発することを目指した。その手始めとして、腐食の現況を把握するための指標の検索を行った。浄水場、配水池、配水管など合計6地点を対象に現地調査を実施した。採水した試料のICP分析を行い、得られたデータをもとに主成分分析を行ったところ、第一主成分はK、Na、Mg、Ca、Siの影響を受けていたが、第二主成分は唯一Feの影響が顕著であった。また、流下にともない懸濁態のFe量の増加が確認され、特に腐食が懸念されている地点では著しく高いFe量が検出された。そこで、XAFS解析によりFeの形態を調べたところ、主要な成分と考えられたFe3O4とα-FeOOHの存在割合が、地点間で異なることが示された。これは、Feの挙動が反映された結果と考えられるが、現段階ではその理由までは整理できなかった。しかし、得られた結果を総合すると、老朽化を診断するうえで、Feは極めて有用な指標であることを見出すことができた。
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