概要 | 我々は吸入曝露肺発がんリスク短期検索法を確立した。この方法は我々が確立した経気管肺内噴霧法我々は吸入曝露肺発がんリスク短期検索法を確立した。この方法は我々が確立した経気管肺内噴霧法を用い、1被検物質の短期(9日間)肺内噴霧による肺発がんプロモーション機序の検索、および2in vitro発がんメカニズムの検索を行う一連の作業で、吸入曝露による肺発がんリスク評価が短期間で可能となるプロトコールの開発を行った。本研究では繊維状ナノ物質の吸入曝露による発がんリスクを予測することを目的で、被検物質として、A社製単層カーボンナノチューブ(SWCNT-A), A社製多層カーボンナノチューブ(MWCNT-A), また、吸入曝露による発がん性の陽性対照として、B社製多層カーボンナノチューブ(MWCNT-B)およびアスベストであるクロシドライト(CRO)を被検物質として吸入曝露による肺発がんリスクを検索した。1において、繊維状ナノマテリアルはいずれもCROと同様に肺胞マクロファージに貪食された。さらに2において、in vitroで被検ナノマテリアルを貪食させた初代培養マクロファージの培養上清は、肺胞上皮(ヒト肺がん細胞)の増殖を促進することが明らかとなった。また、この増殖促進作用に関与するサイトカイン等の因子を検索した結果、被検物質を貪食したマクロファージが分泌するサイトカインの種類は、ナノマテリアルの種類により異なることが示唆された。今後、肺発がん性二段階中期検索法を用いてSWCNTおよびMWCNT-Nの肺発がんプロモーション作用の有無と強度を検索し、繊維状ナノマテリアルの吸入曝露による肺発がんリスク評価を行い、我々のナノマテリアルリスク評価短期検索法の開発を進める予定である。
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