ウイルスの転写活性化因子Tatを標的とする新規抗HIV薬の開発
研究責任者 |
岡本 尚 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授
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研究期間 (年度) |
2010
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概要 | AIDSウイルスの複製の律速段階であるHIVプロウイルスDNAからの転写の主要活性化因子であるTatは、ウイルスmRNAの5’端のTARと宿主転写因子Cyclin T1と三分子複合体を形成する。我々はこの複合体構造を標的とする新規抗HIV薬の開発を試みた。まず、上記複合体は部分的にしか分子結晶が得られていないために、分子ドッキングなど計算化学の手法を適用してモデルを構築し、実際の実験でその妥当性を確認した。得られた複合体モデルの接触面に構造的に合致する小分子化合物を構造既知の化合物ライブラリーより複数同定した。その中の少数の化合物が実際にTatによるHIV転写活性化を阻害し、ほぼ同程度の濃度でHIV複製を細胞傷害性の現れない濃度で効率よく抑制した。
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