有機-無機ハイブリッドフィラーによる結晶性・バイオマスプラスチックの加工性、耐熱性の向上
研究責任者 |
足立 茂寛 奈良県工業技術センター, 未登録, 主任研究員
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研究期間 (年度) |
2010
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概要 | ポリ乳酸(以下、PLA)は結晶化速度が遅く、そのことが成形加工性や耐熱性の悪いことの大きな原因になっている。具体的には、PLAは結晶化速度が遅いために金型内での冷却時間を長くしなければならず、射出成形時のサイクルタイムが長くなり加工コストが増大する。また、ポリ乳酸の軟化点は60°C程度でありポリプロピレン(以下PP)や高密度ポリエチレン(以下、HDPE)と比較すると低い。PLAの結晶化を促進できればこの点についても改善が期待できる。PLAは機械的強度や弾性率などは、他の汎用ポリマーと比べて遜色ない物性を持っており、結晶化しにくいという欠点が解決されれば利用用途は大きく広がると考えられる。そこで本研究ではPLAにかご型シルセスキオキサン(以下、POSS)有機-無機ハイブリッドフィラーを合成し、ポリ乳酸に混合することによって、ポリ乳酸の結晶化と耐熱性を向上させることを目的とした。まずフィラーの合成については本研究で新規に合成した2種類を含めて、置換基が異なる合計8種類のフィラーを合成した。ポリ乳酸の結晶性については、フィラーを加えることで結晶化を促進する効果が見られた。効果の程度はフィラーの分子構造によって違いが見られた。また、一部のフィラーについては耐熱性向上の効果も見られ、高温状態での軟化が少ないという結果が得られた。今後は、ポリ乳酸以外の結晶性ポリマーに対するPOSSフィラーの効果も調べる予定である。
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