概要 | 最近ウイルス感染をはじめとする感染症において細胞内にあるこのPI3K-AKT活性シグナル伝達系をウイルスあるいは感染病原体がたくみに利用し、細胞死、感染の遷延化、腫瘍化さらには多剤耐性の成立などに関与しており、その中でもPI3K-AKT活性化シグナル伝達経路のウイルス感染における病態生理学的な意義が注目されている。申請者はインフルエンザウイルス産生蛋白におけるAKT‐PI3Kシグナル活性化機構に注目し、AKTに結合する分子の同定を試み、AKTに結合するインフルエンザのコードするNS1蛋白を同定、NS1蛋白がAKTと結合する部位を同定、その化学的修飾に基づくAKT活性阻害効果と特異性を明らかにした。本研究によりNS1によるAKTシグナル伝達系の活性修飾機構を制御することにより、インフルエンザウイルスの感染の治療に役立てる可能性が示唆された(Matsuda M et al., BBRC 2010 )。
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