がん細胞接着阻害を利用した難治性白血病抗体療法の開発
研究責任者 |
兼田 加珠子 宮崎大学, 医学部, 助教
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研究期間 (年度) |
2011
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概要 | 転写因子EVI1は白血病の原因遺伝子候補であり、EVI1高発現白血病は抗がん剤耐性を示し予後不良である。我々はこの抗がん剤耐性性とEVI1高発現白血病細胞の持つ細胞接着性亢進に着目し、その原因がIntegrin高発現に依存したラミニン複合体への接着性の亢進によることを見いだした。EVI1高発現白血病細胞の解析から、白血病細胞におけるラミニン複合体への高接着能がG0期細胞分画率を増加させ、細胞が静止期にあることにより抗がん剤耐性を得ている可能性を示した。またIn vivoにおいて当該Integrinの中和抗体処理が抗がん剤の効果を上げる可能性を示した。本研究において「EVI1高発現白血病細胞は、EVI1発現により標的Integrinの転写が亢進し、骨髄nicheでの細胞接着性を亢進して抗がん剤耐性性を発揮する」という仮説が示された。今後さらなる検討を行い、シグナル伝達経路及びIntegrinを標的としたEVI1高発現白血病に対する新規抗体療法の実用化を目指す。
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