新規不斉有機分子触媒を用いた新規抗インフルエンザ治療薬中間体合成法の開発
研究責任者 |
中野 博人 室蘭工業大学, くらし環境系領域, 教授
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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概要 | タミフル耐性菌に有効な新しい抗インフルエンザ薬合成中間体である光学活性イソキヌクリジン誘導体を高光学純度で大量合成するための新しい合成方法を開発することを目的として、申請者が開発したオキサゾリジン塩型不斉有機分子触媒を用いる1、2-ジヒドロピリジン類とアクロレイン誘導体とのDiels-Alder反応を検討した。その結果、本触媒を用いた場合に、50-95%の化学収率と85-99%eeの良好な光学純度で目的のイソキヌクリジン誘導体が得られた。このことから、用いる1、2-ジヒドロピリジン基質により化学収率および光学純度にそれぞれ違いはあるが、光学活性タミフル誘導体合成のために本触媒を用いるDiels-Alder反応が有用であることが明らかとなり、十分ではないながらも研究目的は達成できた。今後、どの基質を用いた場合にも99%の化学収率および99%以上の光学純度でイソキヌクリジン誘導体が得られる本Diels-Alder反応の反応条件や、用いるオキサゾリジン塩型不斉有機分子触媒の検討、さらには得られたイソキヌクリジン誘導体から多置換タミフル誘導体への変換を検討したい。
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