概要 | 本研究は、高強度β型チタン合金を新たに開発し、この新開発β型合金に0.1%の微量のボロン(B)を添加して加工性などをさらに高性能化しようと試みる。このようなBを活用した合金では、凝固時に形成されるTiB化合物に応力が集中し、その結果TiBが破壊(特に疲労)の起点になることが危惧される。そこで本研究では、まず、既存のβ型Ti-6.8Mo-4.5Fe-1.5Al合金を対象に、0.1%Bを添加し、かつ熱処理により強度水準を広範囲に変化させて高サイクル疲労試験を行った。結果より、「基質の強度水準が約1,300MPa以下では、TiBは疲労の起点にはならないこと、また金属組織が微細化するために疲労特性は向上すること」、などが明確になった。このような知見に基づいて、次に、Feなどのユビキタス元素を活用し、かつ強度水準は1,300MPa以下のβ型チタン合金の開発を試みた。機械試験の結果から、Ti-Al-(2~3)Fe-X系合金を有望合金として選定した。研究は継続中であり、最適熱処理条件の決定、B添加による特性の向上の確認、コイル化などが今後の課題である。
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