ナノスケール表面スピン分析のための電界放出型スピン偏極電子源の開発
研究責任者 |
永井 滋一 三重大学, 大学院工学研究科, 助教
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研究期間 (年度) |
2011
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概要 | ナノスケール表面スピン分析を目的に、W(001)面上にCr薄膜を堆積させた陰極の偏極度評価を行った。これまでに測定したバルクのCr陰極は、温度上昇と共に偏極度が低下したが、今回作製した薄膜陰極では、室温でスピン偏極電子線を得ることが出来た。その偏極度の値は、30~40%であり、成膜法を最適化することでさらに高い偏極度が期待される。偏極度の変動率は平均値の7.4%であり、極めて安定であった。しかしながら、10^-8Pa台の真空度で表面状態は時々刻々と変化し、寿命は2時間弱であった。表面への残留ガス吸着による過電流が寿命を制限しており、電界脱離処理を施す事により表面状態を復元することで長寿命化が期待される。今後、分析機器への搭載を視野に入れ、より高偏極度・長寿命な偏極電子源へと改良を施す予定である。
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