放射線障害防護剤としてのニトロプルシドナトリウムの作用機構の解明
研究責任者 |
松本 英樹 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 准教授
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研究期間 (年度) |
2011
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概要 | 平成21年度シーズ発掘試験研究において、狭心症治療薬ニトロプルシドナトリウム(SNP)に、造血系および免疫系の回復促進による放射線障害の防護および治癒作用があり、放射線障害を起こしたマウスの生存率を上昇させる効能があることを明らかにした。本提案では、SNPのX線による放射線障害に対する防護および治癒作用の詳細な解析を行い、被ばく時の緊急救急処置薬として実用化へ向けて、SNPの放射線障害防護能および治癒促進能の作用機構を明らかにすることを目的として正常マウスを用いて研究開発を実施し、以下の結果を得た。 1. 6.5 GyのX線被ばくにより末梢血の白血球および血小板は枯渇していたが、被ばく直後からのSNP(最終体内濃度30 μM)の投与により白血球数および血小板数の顕著な回復が認められた。 2. 6.5 GyのX線被ばくによりTUNEL陽性細胞(アポトーシス細胞)が認められたが、被ばく直後からのSNP(最終体内濃度30 μM)の投与により顕著なアポトーシス抑制が認められた。 以上の結果から、X線被ばく直後からSNPを投与することにより、造血機能および免疫機能の破綻、および特定細胞の脱落が抑制され、造血機能、免疫機能および組織再生能の回復が促進されることにより生存率が回復することが示唆された。
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