沖縄産植物シノブノキ由来のメラニン色素生成阻害物質開発研究
研究責任者 |
大塚 英昭 広島大学, 医歯薬学総合研究科(医), 教授
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研究期間 (年度) |
2011
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概要 | 当研究室では天然植物資源を研究対象にして、メラニン生合成阻害剤の探索研究を行っている。今回、助成された支援プログラムにより、シノブノキから単離された化合物の合成、さらには関連化合物の合成をおこない、活性を評価することを目的に研究を開始した。しかし、パラ位にアルキル基が置換した化合物を酸化し芳香属性を壊しp-quinolへと導くことは比較的難しく、また、原料となるp-クマル酸(天然では酸化により重合し不溶性の高分子リグナンとなる)が重合化しやすいことから原料回収にとどまる、予想された化合物がうまく生成できないなど、本研究課題の根幹となる段階で大きく進行が妨げられた(p-quinolへの酸化は収率が悪いものの達成出来ている。アルコキシ基を選択的に1箇所導入する段階で反応条件の検討など、現在も継続して検討を行っている)。そういった合成研究進行の困難な状況を鑑み、研究期間内で十分な成果に到達するのが困難と予想されたことから残された時間で少しでも関連する成果につながるよう、天然資源からの新規の化合物探索研究を同時進行で進めた。メラニン生成を阻害する化合物は抗酸化活性を有するものが多い。これはメラノサイト(メラニン合成細胞)中でチロシナーゼにより産生したドーパキノンは自動的に酸化を起こし、インドール化合物へ変化し、それらが互いに結合することで黒色のユーメラニンや黄色のフェオメラニンが生成するため、自動酸化を抑制できる抗酸化物質は有力なメラニン生成抑制物質となるからである。成分探索研究を進めた結果、幸いにして多数の新規化学構造を持つ抗酸化活性化合物を単離、構造決定することができた。現在検討中の誘導体合成が達成された際、新たに見出したこれらの新規化合物も加えて活性評価を行う予定である。これらの結果は、本プログラムの目標の一つである、継続した事業展開のために必要な第2、第3の化合物を提供していくうえで重要な知見である。
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