高い弾性率と細胞接着性を有するポリペプチドハイドロゲルから成る自己組織再生型小口径人工血管の開発
研究責任者 |
馬原 淳 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 研究員
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研究期間 (年度) |
2011
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概要 | 本研究では、ポリペプチドハイドロゲルを内腔にもつ自己組織再生型人工血管の開発を目指した。内径が4mm 以下の小口径人工血管は実用化へ向けて数多く報告されているが、未だ血栓形成や狭窄といった問題がある。そこで、自己血管組織の再生を積極的に誘導する新たな小口径血管としてチューブ構造のポリペプチドハイドロゲルを作製し、ラットを用いたin vivo での組織再生と血管の開存性について評価した。内径1mm の移植グラフトを1 ヶ月間ラットの腹部下行大動脈へ移植した結果、グラフト内腔に血管組織と同様の内皮細胞と平滑筋層からなる組織が再生した。さらに、再生した組織は自家血管と完全に結合していた。以上の結果より、ポリペプチドハイドロゲルを内腔にもつ小口径人工血管は、自家組織の再生を効率良く誘導することで、血管の開存性を維持できることが明らかとなった。今後、長さ30cm、内径1mm の小口径血管を作製しバイパスグラフトとしての有効性を検討することで開発した小口径人工血管の実用化を目指す。
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