新規AKT阻害剤によるインフルエンザ感染治療法の開拓
研究責任者 |
野口 昌幸 北海道大学, 遺伝子病制御研究所 癌生物分野, 教授
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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概要 | 我々はインフルエンザウイルスの構成蛋白であるNS1蛋白(Non-structural protein 1)がセリンスレオニンキナーゼAKTのリン酸化依存的に結合、そのリン酸化を誘導し、インフルエンザウイルス感染の治療への可能性を示した。また、我々はプロトオンコジンTCL1とAKT複合体の構造と機能の解析に基づきAKTに結合しその活性を抑える新規AKT阻害剤「Akt-in」を同定した。本申請では、インフルエンザ感染の宿主細胞内のNS1蛋白を介したAKTの活性化を我々の開発した新規AKT阻害剤「Akt-in」を用いて抑制インフルエンザAウイルスの構成蛋白であるNS1(Non-structural protein 1)蛋白とPI3Kの1つの機能的サブユニットであるp85βとが結合し、AKTの活性化を誘導、その標的基質のリン酸化を介して感染宿主細胞の細胞死を抑制し、ウイルスの増殖を助ける。我々はこのインフルエンザウイルスのNS1分子がAKTのリン酸化の標的基質としてインフルエンザ感染の病態の鍵を握る分子であると考えられる。重要なことにこれまでNS1に注目したインフルエンザウイルス感染におけるAKTの活性化の病態生理的な意義は解明されていなかった。我々の持つAKT特異的阻害剤"Akt-in"を用い、インフルエンザ感染宿主細胞のNS1-AKT活性を抑え、新しいインフルエンザ治療への可能性を検証することを目標としている。
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