概要 | 本研究は,間伐材の樹皮(バーク)をおからと白色腐朽菌を混合し部分発酵させて得たバーク発酵材料(BFM)を,イネ及びコマツナの栽培土壌に散布したときの可食部への放射性セシウム(以下,Cs)の吸収量を調査した.今回は,放射性Csの変わりに,安定同位体Csを添加した土壌を用いて行った.結果的に➀BFM量に依存してCsの米への吸収量は増加する傾向を示すこと,➁BFMの添加に伴うコマツナへのCs吸収の増減はほとんど見られなかったこと,➂K及びCa等の必須栄養元素の吸収量に影響は見られなかったことが分かった.本研究の成果は当初の予想とは逆の結果を示したが,植物に放射性Csを積極的に吸収させる新たな技術として,除染対策に転換しうる可能性を示したと言える.また,本研究では降下した放射性Csと環境中に存在する安定Csの化学形態が異なることを突き止めていることから,今後,上述と併用した除染方法も検討したい.
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