概要 | ランタニドLnを発光中心,チアカリックスアレーン(TCA)を配位子とし,水溶液系での金属クラスター化反応を用い,高性能発光素子の創製に挑戦した.Ag-Ln-TCA系,Ln-TCA系の生成条件と組成を明らかにした.Ln-Ln’-TCA系についてはその単一生成法がまだ確立していない.またいずれも結晶構造を明らかにできたのはNa塩についてであった.生成の確認した錯体について発光特性を明らかにした.中でもLnを保護するカゴ構造をもつAg2・Tb1・TCA2の発光寿命(4.3 ms)は特筆すべきである.一方,Tbn・Yb(3–n)・TCA2 (n = 0 ~ 3)の混合系について,Yb3・TCA2単一系に比べてYb発光は1.7倍の増感を示した.これはクラスター内でのTb-Ybエネルギー移動を示しており,Lnn・Ln’(3–n)・TCA2(n = 1, 2)アップコンバージョン素子の実現可能性を支持するものである.
|