概要 | バナジウム(V)・モリブデン(Mo)・タングステン(W)は資源的有用性からリサイクルに向けた取り組みが国家的に推進されている。触媒・超硬鋼廃棄物に含有されるV. Mo, Wは大部分が再利用されておらず、少数の工程で対象成分の単離を行うための技術開発を実施する。 これまでに、鉄鋼試料には過酢酸-酢酸混合液、また、脱硝触媒には過炭酸溶液をそれぞれ溶離に使用した際にV, Mo, Wの良好な溶出を得た。さらに、V, Mo, Wと鉄系金属成分の一斉分離を試みたところ、アルカリ処理により上記3成分は溶液相に、鉄系金属成分は沈殿相にほぼ定量的に分配された。また、V, Mo, W吸着キレート樹脂充填カラムから非強酸・非窒素系水溶液により溶離を試みたところMo, Wのみが溶出された。 達成度としては、金属の溶出はほぼ予定通りであること、V, Mo, Wの分離はVの単離が成功しており、総合して90%としたい。10%の未達成分については、MoとWの単離について道半ばであることに依る。今後の展開として、レアメタル回収に関わる最新情報収集・成果移転とMoとWの分離効率の向上を目指して研究を継続する。
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