高速・低消費電力駆動可能な高性能ディジタルフィルタの設計法
研究責任者 |
福光 昌由(中本昌由) 広島大学, 大学院工学研究院電気電子システム数理部門, 助教
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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概要 | IIRフィルタは、FIRフィルタに比べて乗算器や遅延器が少ないという特長があり、ハードウェア上で実現する場合、高速・低消費電力駆動が可能である。しかしながら、設計アルゴリズムは、多くの場合、周波数標本化、複素近似、繰り返し最適化などを必要とし、複雑なアルゴリズムの実装やパラメータ設定に高度なスキルが要求される。本課題では、線形位相、帯域の重み、ロバスト安定性など有用な機能を持ち、さらに上述したような複雑な設計アルゴリズムを必要としない効果的な設計法の開発を目指した。具体的には、帯域通過フィルタおよび全帯域微分器について、周波数標本化や繰り返し最適化を必要としない設計法を確立した。提案手法は、簡略化されたにもかかわらず、線形位相や帯域の重み指定など多機能であり、得られるフィルタの性能は、他の最新の設計法と比較しても遜色ないことを示した。以上の結果により、当初の目標はおおむね達成できたと考えている。今後の課題として、さらなる実用性向上を目指し、フィルタを有限語長で実現する方法について検討していきたい。
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