低栄養環境下でも作用する新しい膵臓がん治療薬の開発研究<担癌マウスでのin vivo評価>
研究責任者 |
加藤 敦 富山大学, 附属病院薬剤部, 准教授
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研究期間 (年度) |
2012 – 2013
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概要 | 本研究では、膵臓がん細胞に対して低栄養状態時選択的に増殖抑制効果を示す実用的な化合物の創製を目標とした。最終的にデザインした化合物5は、溶解性・安定性にも優れ、リード化合物と比べ100倍以上、強い増殖抑制効果を示した。また、本化合物の処理によりG0/G1期細胞の増加と、顕著なS期の細胞数の減少が認められた。更に化合物5は特異的にミトコンドリアに集積し局在していることが明らかとなり、主にミトコンドリア電子伝達系の呼吸酵素を阻害してATP産生を阻害し、AMP活性化プロテインキナーゼ (AMPK)活性化を介した哺乳類ラパマイシン標的蛋白質複合体-1(mTORC1)の阻害により、がん細胞の増殖を抑制していると考えられた。本研究の成果により、現在、製薬企業と共同でゼノグラフト膵臓がんモデルマウスに対する投与実験を開始している。今回得られた成果を基に産学連携の研究開発ステージにつなげることができている。
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