分子シミュレーションにより設計された新規ペプチド薬の抗腫瘍実験
研究責任者 |
小林 浩 奈良県立医科大学, 医学部, 教授
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研究期間 (年度) |
2013
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概要 | 癌細胞が浸潤する機構には様々なタンパク質分解酵素が関与している。uPAと癌細胞表面の受容体uPA receptor (uPAR)の結合が癌浸潤を引き起こすことが知られている。そこで、uPAとuPARの結合を阻害することで癌浸潤を防ぐことができると考え、両者の結合を阻害する低分子ペプチドをコンピュータシミュレーションした。 その結果、uPARに結合するペプチドのアミノ酸配列として、3種類のペプチド候補を同定した。その中で最も表面荷電が少なく安定な9個のアミノ酸からなるペプチド(未発表のためH1と記載する)を使用した。コントロールペプチドとして当該アミノ酸のシャッフルしたもの(H2)も合成し比較検討した。卵巣癌培養細胞に対してH1およびコントロールペプチドH2は100μM の濃度で毒性を認めなかった。H2に比較してH1は10μM の濃度でin vitro invasion assayにおいて有意に癌細胞の浸潤を抑制した。 今後は動物実験でH1ペプチドのがん転移抑制効果を検証し、さらに毒性試験で安全性を検討したいと考えている。
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