概要 | Fe-Niオーステナイト合金に対して特殊な熱処理を施すことで、試料の大半において2度の相変態が生じることが確認された。この2度の相変態によってオーステナイトの結晶方位が可逆的に復元する現象が確認される一方、その内部には高密度の転位が内在していた。この高密度転位によって、供試材の降伏強度は汎用鋼の約2.5倍に相当する450MPaに向上した。さらに、電解水素チャージ後も延性の低下は確認されず、耐水素脆化・超高強度オー ステナイト鋼としての可能性が示された。ただし、当初目標である『引張強度1,000MPa以上かつ水素脆化感受性指標が10%以下のオーステナイト鋼』は達成できておらず、更なる研究が必要である。
|