認知症・タウオパチーの根本治療を志向した微小管切断酵素阻害の探索
研究責任者 |
廣明 秀一 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授
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研究期間 (年度) |
2013
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概要 | タウタンパク質は神経細胞内で微小管を保護する役割を担っている。アルツハイマー病などでタウが異常凝集・沈殿して失活した細胞の細胞死を、微小管切断酵素カタニンが加速しているという仮説がある。著者らはこれまでにカタニンの微小管結合ドメインの立体構造決定に世界に先駆けて成功している。立体構造を利用してカタニンと微小管の結合を阻害する薬剤が開発できれば、タウオパチーによる神経死を阻止できる可能性がある。そこで著者らは、ファージディスプレイ法によりP60に結合するペプチドを同定した。KP60のNMRシグナルを指標とした相互作用アッセイより、KP60への結合部位を決定した。更にもっともよく結合するK60BP3に存在する特徴的なPro残基をAlaに変異した変異ペプチドK60BP3PA / K60BP3AAを作成し、KP60との結合を見た。その結果、K60BP3とKP60との結合には、PXXPモチーフは必ずしも必要でないことがわかった。今後はペプチド側に同位体標識を施してK69BP3のどのアミノ酸側鎖がKP60に接触しているかについて、NMRを用いて情報を得る。これにより、KP60阻害ペプチドの論理的設計が可能となる。
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