概要 | 患者数の急激な増加と共に、過剰診断、過剰治療が問題となっている前立腺癌において悪性度を的確に判断する診断系の構築を目指して研究開発を進めた。本研究で注目した糖転移酵素Core2 beta-1,6-N-acetylglucosaminyltransferase (C2GnT) は前立腺癌をはじめ種々の癌でその発現と悪性度との相関が見られ、これまでに診断系構築のためC2GnTに対するモノクローナル抗体を開発し、特許を取得してきた。 当初の予定では、本抗体を蛍光磁気ビーズに固定し利用する高感度定量測定系の構築を試みてきたが、反応条件を詰めきれず数値化には至らなかった。しかしながら、本抗体の特異性を利用した免疫抗体法を用いて、前立腺圧出液中のC2GnTを半定量的に検出し、悪性度との相関を確認できたことから、目標の70%は達成できていると考えられる。 今後の課題としては、反応条件を見直し、定量系の構築を行う。また、高感度且つ簡便なアッセイ系への応用を目指し、産学連携により実用化の可能性についても検討する。
|