癌化学療法の耐性克服を目的とした革新的な一酸化窒素デリバリーシステムの構築
研究責任者 |
丸山 徹 熊本大学, 薬学部, 教授
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研究期間 (年度) |
2013
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概要 | 本研究では、ヒト血清アルブミン(HSA)を用いた一酸化窒素(NO)の腫瘍デリバリーシステムを構築し、抗癌剤の組織集積性や癌組織の微環境を改善し、癌化学療法における耐性/抵抗性の克服を試みた。1)NO付加HSAダイマーは腫瘍へのNO移行性を顕著に亢進した。2)NO付加HSAダイマーは、既存の高分子抗癌剤であるドキソルビシン封入リポソーム及びアルブミン懸濁型パクリタキセルの腫瘍集積性を亢進し、腫瘍増殖を有意に抑制した。3)NO付加HSAダイマーは、腫瘍微環境やオートファジーを改善する結果、血管新生阻害剤の耐性化を克服した。今回、NO付加HSAダイマーが抗癌剤に対する抵抗性/耐性克服剤としての可能性を秘めていることを初めて見出した。今後は、その有効性をヒトでの治療抵抗性/耐性細胞を移植したモデルで実証する予定である。
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