概要 | 機能性コーティング膜と基材の界面に発生する欠陥について,直径100μm以下の微小欠陥の検出,および深さ方向の位置情報を得ることを目的に,サーモグラフィーを用いた熱過渡応答測定を適用する可能性について検討した。軟鋼板の基材に径の異なる数種類の有底孔を形成し,加工面に無電解ニッケルめっきを施して人工欠陥試料とした。熱解析シミュレーション結果を基に,加熱後の冷却過程における温度変化をサーモグラフィーにより計測したところ,健全部と欠陥部位で明らかな冷却挙動の差異が見られた。これは直径50μmの欠陥においても差異が認められ,微小欠陥検出に対して有効な手段であることが確認できた。また,深さ方向位置が異なる人工欠陥に対してファイバーレーザ照射により加熱した際の温度変化を計測したところ,欠陥の深さ方向位置によってピーク温度が異なり,深さ方向位置情報を取得できる可能性が見出された。
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