抗Wnt5a モノクローナル抗体による抗腫瘍増殖・抗炎症作用機序の解明
研究責任者 |
菊池 章 大阪大学, 医学系研究科, 教授
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研究期間 (年度) |
2014 – 2015
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概要 | Wnt5aは細胞の増殖や運動を制御する細胞外分泌タンパク質であり、私共はWnt5aの過剰発現が種々のヒト癌の悪性度と腸管炎症を増悪させる仕組みを明らかにした。本研究で、私共が作製した抗Wnt5aモノクローナル抗体mAb5A16は、癌細胞のWnt5a依存性の転移・浸潤能には抑制効果を示したが、Wnt5a依存性の細胞増殖と腸管炎症応答には影響しなかった。mAb5A16はWnt5a依存性受容体エンドサイトーシスを阻害し、更に細胞骨格制御に関わるシグナル経路を抑制した。したがって、Wnt5a依存性の癌細胞の浸潤、転移と細胞増殖、腸管炎症応答は異なる機構を介していることが示唆された。今後は、Wnt5a依存性細胞増殖能を示す細胞株を用いて、抗増殖効果を指標に再度モノクローナル抗体の作製を行う予定である。
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