がんの上皮―間葉転換をリセットする新規治療化合物の開発
研究責任者 |
田中 正光 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授
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研究期間 (年度) |
2014 – 2015
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概要 | アフリカツメガエル初期胚の発生を利用した化合物スクリーニングを予定通り、原腸陥入と神経堤細胞の阻害効果を指標にして行った。その結果、新たに9つの化合物が上記発生過程のいずれかを阻害するものとして選別された。これらを続けてヒト癌細胞株(口腔扁平上皮癌とメラノーマ)を用いた浸潤、増殖に対する阻害効果をまず評価した。2つの化合物がこれらの癌細胞の増殖抑制と細胞集団的な浸潤を阻害する強い活性を有していた。上皮間葉転換(EMT)の阻害効果はEMT関連マーカーで有意な影響が検出できなかったものの、分子作用機序を検討した結果、これらの化合物は細胞微小管の重合阻害に基づく細胞分裂M期の停止による増殖と浸潤の抑制効果が強いものである事が判明した。EMTに特化した薬剤スクリーニング法としての有用性は、今後化合物の母集団を増やして検討する課題が残るがin vivoで有効な抗がん浸潤薬の選別法としては効果的だと考えられる。
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