単一光子アバランシェダイオードを体内埋込撮像素子に応用した体内撮像式STS刺激方式人工視覚システムの開発
研究責任者 |
徳田 崇 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 准教授
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研究期間 (年度) |
2014 – 2015
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概要 | わが国で開発が進む脈絡膜上経網膜刺激(STS)方式の人工視覚技術と組み合わせ可能な高感度光検出回路を、CMOS集積回路上の単一光子アバランシェフォトダイオード(SPAD)で実現した。STS配置ではデバイスを網膜の後ろ(強膜ポケット)に挿入するため、光を遮る脈絡膜を透過した弱い光を検出する必要がある。本研究ではSPAD搭載型のCMOS神経刺激チップを設計・試作し、実装開発を行った。STS配置におけるSPADの感度を評価し、設定した目標感度を1桁以上の余裕をもって達成できることを確認した。
高感度光検出機能の搭載に加えて、新しい材料を用いた網膜刺激電極の性能改善を行った。ナノコンポジットハイドロゲルによる電極コーティングを開発し、in vitro (生体外)およびin vivo (生体内)での性能評価を行った。その結果、性能改善効果と、機械的特性等での課題が判明した。その解決手段としてナノ白金構造との複合化を試み、電荷注入能力において目標達成レベルの性能を得た。
今後の研究展開として、SPADによって検出した光情報から眼球位置などの情報を得るシステム機能化に取り組む、また形成条件に敏感な電極高性能化ナノコーティングについて、再現性良く高い性能を発現し、長期間にわたって維持する形成プロセスおよび運用条件(プロトコール)を確立していく。
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