概要 | 従来の社会的孤立・孤独研究および実践では、社会的孤立の概念があいまいであり、その生成プロセスの把握ができていない。加えて、社会的孤立解消に向けた取り組みは、個別支援にとどまり、予防的介入も行われていない。さらに新型コロナウイルス感染症の流行と感染対策により、ソーシャルサポートやコミュニケーションの減少など「社会全体の孤立」が生じ、これが自殺危機などメンタルヘルスに大きな影響を与えた。
本プロジェクトでは、社会的孤立・孤独の生成プロセスを明確化し、孤立のスティグマを軽減して重症化を防ぐ適正な介入手法をコミュニティーベースで開発することにより、個人が健やかに自立生活を継続できる「個立」の生成を目指す。具体的には、一般成人が抱く社会的孤立者へのイメージ等の社会調査や、社会的孤立の当事者、支援者を対象とした調査に基づき、社会的孤立の生成プロセスを明確化する。また、社会的孤立を助長すると考えられるスティグマの潜在・顕在的測定指標や、コロナ禍でもスマートフォンなどで実施できるアプリケーションを開発し、大規模なオンライン実験による社会的孤立者の認知的特徴を解明する。さらに個人が健やかに自立生活を継続できることを目指した予防介入法の開発とコミュニティーベースの効果検証を行う。孤立前の段階にある中学生、「80」代の親が「50」代の引きこもる子どもの生活を支える80-50問題に直面する前の中高年を対象に、社会資源の利用やセルフケアなど孤立をメンタルヘルスの危機に至らせない生活方法を学び、コロナ禍でも実施可能なオンライン予防教育、研修プログラムを作成し、研修を実施して、開発した指標によりその効果を検証する。
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