体系的番号 |
JPMJRS22K4 |
DOI |
https://doi.org/10.52926/JPMJRS22K4 |
研究代表者 |
大島 郁葉 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 教授
|
研究期間 (年度) |
2022 – 2023
|
概要 | 発達障害者は、そうでない人々(定型発達者)からの孤立を避けるために、定型発達者になじむように自分の行動を修正する防衛戦略として「社会的カモフラージュ」を行い、表面的な社会適応を図る。しかし社会的カモフラージュは結果的に社会的孤立や対人不信感を助長することが近年の研究から分かってきた。これは、そもそも社会通念や常識が定型発達者(マジョリティー)の価値観の上に成り立っており、発達障害者(マイノリティー)の価値観、例えば、「1つのことにこだわる」といった特性が社会的に受け入れられていない、ないしは周縁化されているためである。
本プロジェクトでは、まず大規模調査によって発達障害者の社会的孤立・孤独の生成維持モデル仮説を明らかにし、機械学習を用いて「発達障害者へのマイクロアグレッション(無意識の差別)の予測モデル」を作成する。その後、発達障害へのマイクロアグレッョン解消の手立てについて、認知行動療法(CBT)の理論を用いた個別性の高い支援法ライブラリーを作成し、「オールマイノリティーアプリ」を作成する。具体的にはマイクロアグレッションをする人の属性や種類などのパターンを細分化し、個別最適化したCBTの技法の提供をアプリが行う。本アプリを、教員養成課程の学生や支援施設の支援者に実施し、効果検証を行う。さらには同テーマに関する動画や漫画などを芸術家らと創作し、アプリやSNSなどを通じて啓発する。このように発達障害を皮切りとして、今後は性的マイノリティー、女性などのマイノリティーに対しても同じプロセスを踏んで試行し、最終的には汎用性の高いアプリを完成させる。マイノリティーの価値観への理解の促進およびマイクロアグレッションの減少を目指すことで、さまざまなマイノリティー問題と、これに関連する社会的孤立・孤独問題への新しい社会システムからの予防戦略につなげる。
|
研究領域 | SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築) |