体系的番号 |
JPMJRS23K1 |
DOI |
https://doi.org/10.52926/JPMJRS23K1 |
研究代表者 |
藤森 麻衣子 国立がん研究センター, がん対策研究所 サバイバーシップ研究部, 室長
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研究期間 (年度) |
2023 – 2026
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概要 | がんの発症はこれまでの生活を根底から一変させることから患者が深刻な孤独を感じる契機となる。思春期・若年成人(adolescent and young adult:以下AYA、15-39歳)世代でのがん罹患は、その希少性から患者が全国に点在し空間的にも孤立している。孤立・孤独によりもたらされる最悪のケースが自殺であるが、自殺に関して、がん患者では一般人口よりもリスクが高いこと、近年AYA世代では自殺リスクが高まっていることが示されている。孤独はさまざまな健康障害のリスクファクターであることが知られているが、個別性が高く社会ネットワークが複雑なAYA世代がん患者の社会的孤立・孤独の実態は世界的に把握されていない。
本プロジェクトでは、AYA世代がん患者の希少性・空間性・個別性に対応する現実社会(フィジカル空間)と仮想空間(サイバー空間)を融合したサポートを開発する。
具体的には、①AYA世代がん患者、家族、医療者の心理社会的・医学的面接および質問紙調査により多様な質の社会的孤立・孤独メカニズムを解明し概念化する。②社会的孤立・孤独の多軸評価指標を開発する。「全国がん登録」(国が一元管理するがん患者データベース)を用いた自殺数の年次推移モニタリングによりリスクを可視化する。③フィジカル空間とサイバー空間を融合させた支援介入、スマホアプリによるどこにいても受けられる支援システムを開発する。
AYA世代がん患者の問題が患者自身や社会で認識され、支援システムにより、個々の状態やアンメットニーズ(潜在ニーズ)が把握され必要な支援がフィジカル空間とサイバー空間で提供可能となることで、AYA世代がん患者の社会的孤立・孤独の一次予防を図る。さらにはがん以外の課題を抱えるAYA世代がん患者のみならず、疾病を持たないより広い世代も対象として、学際的な諸知見に基づいて本プロジェクトの成果の展開・普遍化に取り組み、社会的孤立・孤独を生まない新たな社会像を描出する。
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研究領域 | SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築) |