概要 | 解決すべき社会的孤立・孤独の予防に係る問題点としては、第一に、性格が異なれば、社会との接点の好みや、空間への訪れ方の好みが異なるが、社会システム側が、性格的少数派を取りこぼさない取り組みに至っていない点、第二に、個人の努力に介入する一次・二次予防に比べて、社会環境に介入するゼロ次予防の方法は発展課題である点、第三に、予防の担い手として期待される既存の社会システム側に、社会環境に介入できる余力がない点が挙げられる。
本プロジェクトでは、場所からコミュニティーへ、つながりを感じることの助けになるプレイスメイキングの方法を公民学連携で共創し、近隣社会環境の多様性を生かして空間的に処方することで、孤立・孤独を抱えがちな性格の人たちが公共空間に立ち寄りやすく、ハイリスク者も誘いやすい社会の実現を目指す。本プロジェクトのプレイスメイキングとは、コミュニティーの誰もがアクセスできる公共の場で行われる、場所との通いを構築するための近隣社会環境への介入方法を指す。
具体的には、孤立・孤独に陥りやすい性格傾向および空間的・社会的・情報的選好を明らかにし、社会的孤立・孤独メカニズムを理解する。また、社会的孤立・孤独リスクの可視化と評価手法として、孤立・孤独ゼロ次予防モデルと一次予防モデルを開発し、近隣社会環境の多様性に基づく予防格差を可視化することで、公共空間や場所性を生かす合理的根拠を提供する。その上で、社会的孤立・孤独に陥りやすい性格傾向を持った少数派の空間的・社会的・情報的選好に配慮し、近隣社会環境の多様性を生かした戦略的なプレイスメイキングを実現するために、公助と共助の連携をエリアコーディネートする中間支援組織を支える仕組みを構築する。
この仕組みを通して、本プロジェクトの公民学連携の取り組みを展開・普遍化し、孤立・孤独を生まない社会につなげることを目指す。
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