体系的番号 |
JPMJRS24K2 |
研究代表者 |
岡 檀 情報・システム研究機構 統計数理研究所, 医療健康データ科学研究センター, 特任准教授
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研究期間 (年度) |
2024 – 2027
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概要 | 孤立・孤独問題に取り組む地方自治体やNPOはいわゆる経験値・暗黙知によって活動し、連続性の維持が容易ではない。学術知や専門知へのニーズは常に高いが、連携するための仕組みが無い。実態把握という点では、孤立の分布や地域間格差、その要因の解明が進んでいない。「孤立」を抽出する精度は十分といえず、「孤独」の顕在化はさらに困難である。2024年4月に孤独・孤立対策推進法が施行されたいま、現状への対処に加え、未然防止のための長期的視野に立った研究を行う必要がある。
本プロジェクトでは、孤立・孤独に関する政策のサイクルを支援する「孤立・孤独対策総合知支援ネットワーク」を形成する。
具体的には、(1)孤独予防因子の研究、(2)孤立・孤独指標の開発とリスク要因分析、(3)学術知の統合と現場知の連携支援を行う。(1)では、子どもの成長を追跡観察する調査を通して、孤独に傾きにくい思考や行動パターンについて個々人の特性や家庭環境の影響などを分析する。同時に、孤立・孤独者に対する周囲の偏見や価値判断など社会の包摂性に関わる規範がどのように形成されていくのか、そのプロセスや対応についても検討を行う。また、孤立・孤独に傾きにくい住環境、すなわち個人の意思や努力とは無関係に自然とコミュニケーションが促される環境づくりを目指し、町の空間構造特性といったハード面からも検討を行う。(2)では、現場での質的調査をふまえ、国が保有する大規模な個票データの解析によって指標の開発と要因分析を行い、PoC実施によって改良を重ねる。(3)では、現地での聞き取りや研究集会を通して現場のニーズを集め、医療・健康科学、経済学、行政学、社会学、法学、データサイエンス等の知の統合を図り、専門家、実務家と連携して政策の開発に取り組む。実装の実現可能性を行政学の専門家が評価し、現場の個別性と制度・政策の一般性を架橋する。連携する地方自治体NPOが政策案のPoC実施の場として協力し、現場での試用/使用、フィードバック、改善のPDCAサイクルを回していく。
以上のアプローチを組み合わせ、包摂性の高い政策を提案・実装するために領域を超えて多様な領域が呼応して集結し、孤立・孤独予防のためのプロセスを継続的かつ科学的に改善できる社会の実現を目指す。
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研究領域 | SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築) |