概要 | 映像機器は高度に発達し,視聴環境は向上したが,ディスプレイの表面反射が未解決の問題となっている.この表面反射を除去する最良の方法は,無反射透明樹脂膜でディスプレイの表面を覆うことである.無反射透明樹脂膜を作製するためには,極微細な無反射形状を樹脂膜に転写する技術が必要である.本研究では,射出圧縮成型法に超音波振動を付加した新成形法によって,この問題を解決する.ここで提案する新成形法は,ナノオーダーの極微細形状を1次成形により形成するので,高精度で高生産性のよい樹脂成形技術であるということができる.大気開放型化学気相析出法によれば,酸化亜鉛ナノウイスカ薄膜を容易に作製でき,しかもナノオーダーの形態制御が可能である.この薄膜の結晶表面を光吸収面構造にすると,その表面は無反射面となるので,その表面形状を透明樹脂に転写すれば,無反射ディスプレイ面を作成することができる.ここでは,表面形状の転写性を樹脂の粘弾性等のレオロジー的性質から検討し,目的の転写精度を達成する最適成形条件を決定し,無反射透明樹脂膜の製作を行う.
|